おいしいだけじゃない

紅茶はえらい!

精神安定・成人病撃退からダイエットまで

大森 正司 著 1992.10.16 発行
ISBN 4-89295-012-2 C2177 文庫サイズ 48ページ 本体 250円(税抜)


紅茶の誕生と普及経路

紅茶はえらい!

東洋の神秘薬“お茶”が西欧で紅茶に
お茶がヨーロッパに持ち込まれたのは17世紀のこと。当時、海上貿易に力を注いでいたオランダが、中国から輸入したのが始まりでした。
以後、“万病に効く東洋の神秘薬”として珍重され、ヨーロッパ各地に伝えられていきました。
当初こそ、緑茶やウーロン茶のままで売買されていた「お茶」でしたが、徐々にヨーロッパ人の嗜好に合わせて品種の改良が進み、現在のような紅茶が誕生したといわれています。
ともあれ、輸入が始まったころのヨーロッパでは、主に病の療養薬に利用されていました。

イギリス上流社会で一大ブーム
1662年、イギリスの国王チャールズU世のもとに嫁いだポルトガルの王女キャサリンは、貴重品の紅茶に、やはり貴重品だった砂糖を入れて飲む“喫茶の習慣”を、王室にもたらしました。
この贅沢なふるまいには、イギリス貴族たちもビックリ仰天。高級指向をくすぐられた彼らは、やがて「われ先に」とこぞって真似するようになり、イギリスの上流社会で紅茶の一大ブームが起こりました。
それは単に個人的に喫茶をするというよりは、貴族たちの特権的な習慣、たしなみとして取り入れられていったのです。
豪華な茶器を用い、さまざまなバリエーションを加え、客人を招いて作法を披露する……といったように。
17世紀後半からは、かの有名なイギリス東印度会社が紅茶貿易を独占。1813年に独占が廃止されるまで、
「大英帝国繁栄の基盤は紅茶貿易の収入で築かれたのだ」
と噂されるほどの膨大な利益を得ていました。

日本には明治以後普及
1887年になって、やっと日本にも紅茶が入ってきました。
当時の日本は“文明開花”の名のもとに、欧米の文化を取り入れることに躍起になっていた時代。紅茶は、そうしたヨーロッパ文化のハイカラな貴重品として、日本へ入ってきたわけです。
日本の上流階級の人々が、しばし緑茶のたしなみを捨て、文明開花、ハイカラのイメージでこの目新しい高額な「発酵茶」を飲んだ様子は、容易に想像のできることです。



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